心ある未来の獣医師を育てたい
2009-09-08 19:23:25
カテゴリー コンパニオン・アニマル(伴侶動物)
9月5日は夏と秋がせめぎあうような暑い土曜日。
そんな日、武蔵境にある日本獣医生命科学大学に行ってきた。
そこでは「第四回 大学で生べない獣医学-学生向けセミナー」が
同大学獣医臨床病理教室の鷲巣月美先生とPet Lovers Meeting
の共催により一日おこなわれていた。
その内容は;
1)難しい場面での家族とのコミュニケーション
2)ケース・スタディ:悪い知らせをどのように伝えるか
3)医療面接の進め方
4)模擬クライアントによる医療面接のロール・プレイ
などなど、学生、獣医師にとってはもちろん、コンパニオン・アニマルの
オーナーにとっても大変意義深いものであった。
この模擬クライアントのボランティアをやるにあたり、事前に2回ほど
研修をうけた。
そこで多くのオーナーが実際に獣医師からコミュニケーション不足により
不安を覚えたり、ショックを受けたという経験を共有することができた。
と同時に、学生へ「ほめて助言する」ことへの集中力の必要性を痛感した。
獣医学生は大学での6年をおえ、臨床現場にたったその日から
オーナーにとっては家族同様の命を預かる「先生」となるのである。
一方、大学では初診のときに、何に気をつかい(服装、言葉、態度、視線等々)
どう語りかけるかというカリキュラムはない。
まして、余命宣告や悪い症状を伝える時の心構えなどは経験から学んでいくしか
ないのである。
そんな彼らにとって、このセミナーは気づきへのワンステップになるだろう。
現在、医科大学においては、患者とのコミュニュケーションの取り方について
進級、卒業における重要な「単位」として、模擬クライアントを用いた授業に
組み込まれているという。
そんな背景の中、獣医師に対しても、一定のシナリオの基に、
ロール・プレイにより問題点を浮き彫りに学んでいくという試みである。
基本シナリオがあるとはいえ、悪い知らせを告げられた時には、
多くの模擬クライアントが自己体験を思い出し、その演技には豊かな感情がはいる。
それを受ける学生の獣医師役はとまどいながらも、模擬クライアントのコメントを
真摯に受け止める表情が初々しい。
奇しくも一年前のその日、その大学にてピピは「余命宣告」をうけた。
そんな、わたしが一年後に、そこで模擬クライアントをやっているなんて…
ピピの『天国の犬からの宿題』は、私をどこまでも導いていくようである。