眼福~芸への精進
2009-11-10 23:32:52
カテゴリー kimono
きょうはかねてよりご紹介していた藤間勢波さんのリサイタルへお招きいただく。
【写真1】平成21年度文化庁芸術祭参加公演 国立劇場小劇場にて
勢波さんは新作舞踏の世界を短歌でも表現されている。
それを評しただけの立場であるにもかかわらず、開幕が近づくと
私自身がどきどきしてしまう。
そして「傀儡師」の幕があがる。
清元も素晴らしい。
しかし、圧巻はその踊りのテクニック。
軽やかに、力強く、そして楽しく踊る姿は指先まで気が入り美しい。
しかしその姿は体力と精進の賜物であると伺い知ることができる。
30分の休憩をはさみ、次はいよいよ新作「情炎の淵」。
「朝顔哀歌」の深雪と「娘道成寺」の清姫を演じられた。
それぞれの情念の違いを衣装はもとより、舞によりたっぷりとみせる。
暗転の間に3mほどの長さの布に墨跡鮮やかな勢波さん自筆の短歌が
天井から降りてくる演出は効果的。
そして圧巻は紫色の鐘に上る清姫、早変わりも含めその衣装とのコントラストが美しい。
【写真2】終演直後、出口で清姫の衣装のままお見送りをする藤間勢波さん。
達成感あふれる笑顔が輝く。
3歳で初舞台を踏まれ、師歴41年の修行を積まれた人のもつ凜とした美しさ
伝統芸能への深い知識など、一朝一夕では表現できないものを身につけた人の
素晴らしを「眼福」とした一夜であった。
【写真3】今では珍しい付け下げ小紋は40年以上前の品。金色の扱いやすい袋帯。