津田 和壽澄 著『孤独力 人間を成熟させる「ひとりの時間」』より
ひとは一生寂しさ(ロンリネス)を
内に秘めたまま生きていくのでしょうか?
あるいは、気の持ちようによって
寂しさを意識しないでいられるのでしょうか。
そんな問いかけに応えるのが
「ソリテュード(積極孤独)昇華へのメカニズム」です。
この5段階プロセスを知らず知らずに繰り返し、
ひとは次へと進んでいるのです。
これらのメカニズムを知ることにより、
ソリテュードの効用体験が加速され、
孤独感をぬくもりへと早く変容させることができるのです
(詳細は『孤独力 人間を成熟させる「ひとりの時間」』pp71-75)。
一連のロンリネスからソリテュード昇華体験は、
つぎのようなメカニズムとしてとらえることができます。
思いがけず自己否定的な出来事が起こる、
もしくは予想をしていても強いショックを伴い
感情処理ができない体験をする。
怒り、うらみ、ショック、非現実感など
アドレナリンがかけめぐり、むしろ闘争感情が強い。
どうにもならない現実を受け入れた後、
それに対処する気力はなく、
必要以上に自己否定的な感情に包まれる。
人とかかわるのが怖い。引きこもり気味。
つらい、哀しい、寂しい、強い疎外感、
自己の存在否定、無気力感のピーク時期
出来事から湧き起こった強い否定的な感情
(悲しい、つらい、怖い、寂しい)が極限までくると、
その環境に慣れ反作用が起きる。
これはある種の麻痺感覚でもある。
否定的な感情にあまりとらわれずに、少し脇において
ネガティブな感情を「流れるまま」とするようになる。
自分の感情を少しずつ客観視できる。
「流れるまま」を意識している自分に気づいた時点で、
そのとらわれない状態は自然に増えていく。
「楽しんでいる」サインに目を向ける。
この時点で、ソリテュードの中心的効用である
「創造的なエネルギー」がしだいに湧き起こる。
すでに、寂しさや切り離された感情、被害者意識は余り感じられない。
ポジティブなエネルギーを積極的に意識でき、
それが「今」自分が必要としている何らかの行動へと
反映される(人に会える、ゆったりした気持ち、
健康を取り戻す、自分らしさのバランスを再び感じる、
決断する勇気がある、周囲の思惑を気にしないなど)。
知らず知らずに薄皮をはぐように、ソリテュードの効用を体験している。
ロンリネスからソリテュード昇華へのメカニズムとして、
このようなことが繰り返されているのです。