『孤独力 人間を成熟させる「ひとりの時間」』講談社 p.185 - 187
私が考える「ソリテュード(積極的孤独)」を理解していただくためには
本文にある以下の言葉をもう少し補足したい。
「ソリテュードは抗生物質のような即効性がある場合と
ひとり一人の内的テクストによっては漢方薬のように
じわじわと効き、次第に免疫力(ストレス耐性)を上げていく
ケースもあります」
これは一見矛盾するようですが、ソリテュードというものは
多分に個人の経験や知識や発酵させてきた知恵の蓄積により
多用な化学反応をおこすということを述べている。と、同時に
ロンリネスからソリテュードの昇華プロセスを知っているか否かにより
ソリテュードの効用を実感する速度にも差が出るということなのである。
Aさんについては、以下で具体的なソリテュード・タイムの過ごし方の一部をご紹介します。
「えっ、こんな時間も?」と驚かれるでしょうか。あるいは「普段やっていることはそういう方向で捉えれば
ソリテュード・タイムなのか」と納得していただけるかもしれません。ソリテュード・タイムがどのような風景になるかは、それぞれの方の興味の方向と行動力によって数々のバリエーションがあります。初めは堅苦しく考えずに、「気分転換シーン」と理解してくださってよいのです。そして、しだいにひとりの時間を積極的に選択しているというように確認できたら、前述したサード・ステップに移行していきます。
Bさんには、ソリテュードが人間関係から切り離された、非社会的なものを求める状態ではないということをまず理解してほしいと思います。その目的は、自分らしくありながら、他社をさらに思いやったり好きになったりすること。無理せず人間関係が円滑に進む、あるいはさらにわくわくして人に会いたくなるということです。大勢の中で気分転換が図れたり、寂しさが紛らわされることもあるでしょう。しかし、それだけでは癒されないことがあることも経験していると思います。そんな折に、ソリテュードを試してほしいのです。
ソリテュードは抗生物質のような即効性がある場合と、ひとり一人の内的テクストによっては、漢方のようにじわじわと効き、しだいに免疫力(ストレス耐性、考える力など)を上げていくケースもあります。
例えば、Bさんがさきほどまでいっしょにいた友達から離れ、自宅の湯船の中で、「ふーっ」と息をはいてひとりの心地よさを存分に味わっている瞬間がソリテュード・タイムそのものであり、ソリテュード・パワーが活性化され始めているときだと頭の隅においてもらいたいのです。
Cさんへは、ひとりの時間の確保例をあげてみました。ただ、時間の長短や場所の完璧な舞台設定にとらわれず試行錯誤し、もっとも心地よいものをたくさん見つけていってください。他社のソリテュード・タイムは参考となります。しかし絶対ではありません。深夜のクラブで大勢と音楽に囲まれて踊っているときに究極のソリテュードを体験する人もいるのですから。
目を閉じてぼんやりしていると、わたくし自身を救ってくれたさまざまなソリテュード・タイムが浮かんできます。いずれもその後の、わたくしの行動に影響を与える源を生み出してくれました。ほんの一部ですが、それをここでご紹介したいと思います。また、さらにさまざまなソリテュード・タイムをタイプ/シーンごとに具体例としてあげています。その日の気分でソリテュード・タイムを選び取る参考になれば幸いです。
by @kazumiryu