宝島 2004年3月号掲載
先週から5週間にわたり「孤独力」の研究をお届していますが、今週は「孤」と「集団」について考えてみましょう。
本文では古沢哲也氏/人事・組織コンサルタントによる“一人の時間の大切さ”が語られています。
ひとりの時間の大切さについては同感ですが「古沢哲也氏のここがポイント」を見ていただくと以下に説明するソリテュード(積極的孤独)との考え方の相違が明確になるのではないでしょうか。
このように、「孤独」という概念は、言葉としては馴染みのあるものですが、
意外と共通理解をもつ言語になりにくいのです。
ソリテュードと名付けそれを研究する醍醐味はそんなところにもあります。
仕事の中で“1人時間”を活用し、成果を挙げているビジネスマンがいる。ワトソンワイアットの人事・組織コンサルタント、古沢哲也氏だ。
コンサルタントの仕事は、顧客から経営課題を聞き、その根本原因を探り出すところがいちばん難しい。
いかに人より「深く考えられるか」が問われるのだ。しかし、銀行マンからコンサルタントに転職した当初、古沢氏の考えた解決策は、顧客からは喜ばれたもののメンバーからは「レベルが浅い」と指摘されていた。
「このままでは一人前のコンサルタントになれない。そう追い込まれ、人と話している場合じゃないと、がむしゃらに考え抜きました。」
一人でひたすら考える中で、人の気持ちになりきることで本質まで辿りつくコツを掴んだという。このとき以来、古沢氏は課題解決をするときは意図的に“集中タイム”に入る工夫をしている。
その方法は、まず机に座りヘッドフォンで音楽を聴く。これは周りの人に「話しかけるな」というサイン。そして電話もメールも拒否し、ひたすら音楽を聴く。すると、1〜2時間後に意識が集中し始め、課題解決の具体的アイデアが浮かんでくる。時の経過もわからないこの状態が4時間持続することもあるという。
また、通勤の電車の中で漠然と課題について「困ったなぁ、難しいなぁ」と考える時間も大事だという。
真面目には考えない。しかし、必ず忘れてた情報や思わぬ切り口などにヒントが浮かぶという。この過程を経て集中タイムに入ると、よりモレとムダのない課題解決策が導き出せるという。
古沢氏は、一人の集中タイムの効用を「いいチームプレーができること」と強調する。なぜなら、自分の実力と限界、メンバーの実力も見えてくるので、実力のある人を素直に尊敬できるようになるからだ。
「集団のメリットとは、個性と実力のある人々がお互いを尊敬し合い、うまく役割分担すると大きなシナジー効果が得られること。しかし、お互いに尊敬がないと、強い人の価値観に流されいい成果が出ない。一方、一人は個性を伸ばせるが、一人ではシナジー効果は得られません」
一人の集中タイムを活用し、個性と実力を確立させたうえで、尊敬し合える関係のチームに入ると、大きな成果が得られるのだ。
by @kazumiryu