宝島 2004年3月号掲載
5回にわたるこのシリーズで先週は「個」と「集団」について考えてみました。
今回は、東京と大阪在住の30代男性サラリーマン200名を対象にしたアンケートにもとづいて彼らの孤独を浮き彫りした特集です。
さまざまな集計結果のうち、私が最も興味をもったのは「孤独に強いほうだと思いますか?」という質問そのものである。
「孤独に強い」という問いかけの反対側には「孤独に弱い」という考え方があり、それは暗黙のうちに「ネガティブ」な雰囲気をまとわされている。
本来孤独には「強い、弱い」はなく、あるのは“ひとりでいる”という物理的な状態をどのように捉えるか、どのように活用するかというだけなのである。
このような点をみても、ひとりの時間の効用をソリテュードと名付け研究した事に意味があったと考える。
本文最後に、森田療法研究所所長 北西憲二先生が「…人とうまく役割分担ができる。そのためには内省する時間が必要」と述べているが、同感である。
あなたは、どのような回答をなさいますか?
友人は少数厳選傾向。
ちなみに会社関係以外でよく会う人は
大学・高校時代の友人、
趣味・サークルの仲間、
いないの順となっている
仕事が終わるのが遅い、
自宅でゲームにはまっているなどで、
飲みに行くのは週1程度が平均像
強いほうと思っているひとが4割強。
ネットなどひとりの時間を
過ごす手段を持ち、
ひとりが好きな人が
意外に多くいることがうかがえる
していない人が7割近くを占めている。
新しい友人よりも、
過去からの友人を大事に
する人が多いようだ。
はい | 36% |
---|---|
いいえ | 64% |
ひとりで行く人が約4割。
ただし大企業の本社などでは
9割くらいが仲間と行くという話も多い
約4割が面倒と思いながらも
一緒に食事をする。
ひとりになることに、
やはり抵抗がある実態が浮かんでくる
0人 | 32% |
---|---|
1人 | 10% |
2人 | 18% |
3人 | 12% |
4人 | 3% |
5人以上 | 25% |
0人と2人5人以上が多い。
仕事の内容によっても変わるだろうが、
人付き合いの多い人、ふつうの人、
少ない人がまんべんなくいることが窺える
東京、大阪在住の30代のビジネスマンが対象。インターネットリサーチ会社「インフォプラント」によるアンケート調査のほか、編集部によるアンケート調査を2003年12月25日〜2004年1月13日の期間で実施。
孤独に強いと思う人が42%。親友は0〜3人程度、ランチも一人で食べるが約40%。今回のアンケートから、30代男性サラリーマンは、意外に孤独になれているという実態が浮かび上がった。この結果を森田療法研究所所長・医学博士の北西憲二氏は、「“マイペース型”の人が多い」と見る。このタイプは専門職志向で、人付き合いもある程度あり、精神的にも安定しているという。「しかし、チームリーダーなど人をまとめる役割を与えられると、その役割や人との付き合いに過剰反応しやすい。そのとき仕事がうまく回らないと、一気に燃え尽き症候群や鬱病になる危険性がある」と指摘する。では、そうならないよう、どうするか?
「自分ができること、できないことを認識する。苦手克服はしないで、できない部分も一個性と捉え、受け入れることです。この個性に気付くと、自信がつき、人とうまく役割分担ができる。そのためには内省する時間を持つことが大切です」
by @kazumiryu