2010年2月12日掲載
先週に続き、今週もトリミング歴10年のトリマーTさんのハワイ便りです。
ハロウィン・シーズンにはドッグ・ホテルでの一時預かり犬たちも
スタッフに様々な仮装をさせられ楽しそう?!
写真満載、お楽しみください。
なお、今週はさわやかなエピソードではありませんが、
春も間近の今、私たちも今一度、肝に銘じておきたい内容をご紹介します。
一年を通じて暖かいハワイでは、過ごしやすくメリットも沢山ありましたが、犬達にとってはこの暖かい気候ゆえに、とんでもないデメリットがあったのです。
デメリットの正体とは、ずばり『ノミ・ダニ』。
ハワイでは、トリミングに来ていた半数以上の犬達がノミ・ダニつきでした。
日本でも春先から夏の間には、たまにノミ・ダニ付きの犬達がいましたが、フロントラインを始め各種の予防をしているオーナーがほとんどだった為、「悲鳴をあげるほどの数」は見たことがありませんでした。
それがハワイでは・・・。
滞在中、もっとも印象にのこっているのは、14歳になるシェルティのオス。
老犬ということもあり、コートも皮膚もあまり良い状態ではありませんでした。体のあちこちに腫瘍もできていました。
「かわいそうだし、シャンプーにもあまり時間をかけたくないなぁ・・・」と、私。
オーナーはたった一言、「ノミはいないと思うけど、一応ノミ取りシャンプーを使って」とさわやかに告げて去って行きました。
指示に従いノミ取りシャンプーを使い洗い始めてみると、体をつたい出る水は赤。
「これはただ事ではない」
丁寧に皮膚を見ていくと・・・体中を逃げ回る何百匹ものノミ、それに覆いつくされた四肢。
可愛そうなことに、体中がノミの巣と化してしまっていたのです。
体から流れ出る赤い水の原因はノミの糞だったんです。
自身のショックを鎮めながら、「気持ちが悪いからやらない」というわけにもいかず、少し濃い目のノミ取りシャンプーで洗い始め、つけ置きをし、ノミを処理していきました。
老犬で体力も弱ってきているので、放っておいたらノミに命を奪われてしまうのではないかと思うほどにとんでもない状況に次第に慣れてくると、犬への憐憫と同時に飼い主への怒りがふつふつと湧いてきました。
「なぜここまで放っておけるのか!」
このような酷い状況だったので、時間は大分かかってしまいましたが、この犬もすっかり清潔になり、気持ち良さそうに帰って行きました。
しかし、オーナーは事の重大さを理解しているのでしょうか?
知った上で責任転嫁をしているのでしょうか?
日本でしたら、きつくお灸をすえたいところでしたが、残念なことに英語が話せなかった為、黙って見ていることしかできませんでした。
ハワイでの様々な体験の中、私には、この出来事が一番ショック大でした。
日本で10年トリマーを続けていても、こんなに酷い状況にめぐり合ったことはありません。
それだけ日本ではノミ・ダニの予防について、オーナーの意識が高いということになるのでしょう。