2010年5月7日掲載
前回(スーパー・ドッグ?それとも強い絆のスーパー・ボンド?)は犬の素晴らしい能力について触れた。
臭覚につき、最近では患者の呼気をかぎわけて病気を見抜く訓練と研究もなされている。がんの早期発見、糖尿病患者の血糖値の変化も一緒に暮らしている中で感知するという素晴らしさ。そして、必要な注射器具などをもってくる犬は単に介助犬というよりも、名実ともに命を共にするパートナーである。米国ではそのような犬を捨てられたり、虐待を受けた犬から選び訓練するという。
しかし何といってもコンパニオン・アニマルが他の動物と異なる力を発揮するのは人間への高い共感性という点。それは人と暮らしてきた彼らだからこそ、新たに発達させることができた能力なのではないだろうか。
その共感性を活用した活動がアニマルセラピーといわれるものである。これは以下の3つに区分される。
現在、私と凜が目指しているのは1)であり、そのためにいろいろなしつけをきちんと入れるように努力中である。しかし、日本の動物セラピーの現状は善意頼みであるという記事(朝日新聞2010/05/01)を目にすると、この取り組みを永続的かつ有効に広めていくのには何が必要なのだろうか。
日本動物病院福祉協会によると、ボランティアは時間と労力を費やすだけではなく、ガソリン代、駐車料金、参加犬の厳しい健康チェックやしつけにお金がかかるが、それらも持ち出しているのが現状という。また、本格的にアニマル・セラピーを学んでも現状では生活がなりたたないという。
一方、幕張メッセでゴールデンウィーク中に開催された(5月1日〜5月5日)PET博は10万人以上の人出があるという。そこでの出店はレスキュー犬(富山県の災害レスキュー隊)、介助犬、聴導犬、盲導犬、セラピー・ドッグ、犬の孤児院や虐待レスキュー団体など、多くがボランティアに頼っている組織から、別荘、霊園紹介、物販、しつけやマッサージデモンストレーションまで大盛況の賑わいであった。
凜とともに、各ブースにささやかな寄付をしながら回っている中で、もっとも目についたのは、入場者のドッグ・バギーの多さである。最近の流行であるようだが、多頭飼いの飼い主やしつけが整わない犬との外出には重宝なのであろう。それにしても、バギーの形は人間用のものと何ら変わらず、中に犬がいるのか赤ちゃんがいるのか分からない。それを押すオーナーの顔は幸せそうである。まさに少子化とコンパニオン・ドッグ増加を端的にあらわす興味深い一風景であった。
善意頼みの現状と、わが子さながらにかわいがりお金に糸目をつけないオーナー。コンパニオン・アニマルと暮らす中で、後者はオーナーの醍醐味である。しかし、まずは良質のフードやしつけに予算を割いてほしいと思い、またコンパニオン・アニマルと共生する中で、自分ができることは何かを考えていきたいと再認識した1日であった。
by @kazumiryu