2010年5月28日掲載
昨今のいわゆる“ペット・ブーム”はもはや一時の流行ではなく、家族の一員として深い意味をもつ関係となっている。言い換えるならば「うちの子が一番」であり、その為には物心ともにかけるという考えは多くのオーナーでは当然のことのようになっている。
ペットという言葉は「コンパニオン・アニマル(伴侶動物)」という表現となり、それを巡るマーケットは1兆円とも2兆円ともいわれる。2008年の蓄犬登録数は680万頭で、実際にはその倍を数えており、また猫、今流行のうさぎ、フェレットなどをあわせると2400万頭を超え、それは15歳以下のこどもの数1717万人を優に超えている。
そのような現状を背景に5月29日号『週刊 東洋経済』は全体の約1/3が“ここまで来たペットビジネス”と名うった特集がされていた。
2009年、日経ビジネスオンラインで『天国の犬からの宿題』という連載コラムの執筆中、多くの方から「経済関連記事が中心なのによくぞとり上げてくれた」という声をきいた。それから1年を経ない今、このような特集が経済誌で組まれたことには感慨を覚える。
その内容は、1)ペットフードの最前線 2)競争厳しいペット獣医師 3)ペットの葬儀・墓事情 4)飼い主が直面する介護問題 5)普及進むマイクロチップ 6)ペット同伴旅行の多様化 7)ペット共生住宅、住民トラブルも 8)人気沸騰の動物タレントなど 9)先々週触れたアニマル・セラピー 10)殺処分ゼロ 11)保険などである。
これらは当時「コンパニオン・アニマルをとりまく状況は私たちをとりまく問題点の縮図である」と考えたこと、また毎週このコラムで取り上げている問題などと重なっていることと合わせて、それだけコンパニオン・アニマルへの意識が高くなったことと同時にマーケットとしての可能性の高さをみることができる。
この記事において特筆すべきは「流通・販売経路のパターンと流通量推計(2008年)p35」の図説であると専門家からうかがった。
そこは犬猫の入手ルートとして「生産業者(ブリーダー)」から始まり「一般飼養者」、「小売店等」、通流外」まで届く二次流通として「卸売業者」、「オークション市場(せり市)」、「海外市場等」の3つがえがかれているが、「セリ市」での社会化未満の幼犬の取引を記載しているのは珍しいということである。
このような特集が、今後一層各テーマを深く掘り下げシリーズ化されることを願うのは私だけではないはずである。
by @kazumiryu