『NHK Weekend Japanology英語で学ぶ日本のこと KIMONO編』掲載
「きものの魅力」は何と言っても和のDNAが起動した時の、何とも言えぬゆるやかな心地よさにある。
「和文化」など、普段意識しない人ほどそのギャップによって気付く「意外な自分発見」は魅力である。
また、「きものの威力」とはまさに、纏った時の非日常の美。
その存在感はよくも悪しくも普段よりも視線を集めるであろうし、それにより体内を駆け巡る「何か」に気づくと、それは「魔力」に魅せられたといっても過言ではない。
散財をせずに、賢くきものライフを楽しむ方法はKazumi流の得意技。
以下のKazumi流スタートアップ術をご参考に。
しかし、かわいい散財ならばそれも「きものの魅力」の内なのかもしれません。
―最近、きものの人気が復活しているようですね。
津田 はい。うれしいことにこの数年、きもの姿を以前よりみかけるようになりました。若い女性がきものに靴をあわせたり、フリルを袖口にあしらったりと、きもの本来の約束ごとに捉われずに創造的に着る一方で、欧米人が“Meisen, please.”(銘仙をください)などと骨董市で熱心に掘り出している姿も見うけられます。きものや帯の独特の色柄、小物とのコーディネートのユニークさが外国の方にも好まれるのはふれしい限りです。
―きものライフスタイル・コンサルタントとしての醍醐味は何ですか。
津田 きもの姿をKazumi流にトータル・コーディネートし、洋服では隠されているその方の内面を、きものによって魅力的に引き出すことですね。きもの、帯、半襟(はんえり)、帯揚げ(おびあげ)、帯締め(おびじめ)、草履(ぞうり)、小物、そして所作にいたるまでトータルで風情を表現できたとき、きものの魅力が輝き、ご本人もうれしさを隠しきれないようです。
きものを着ると、デスクワークで丸くなった背筋は伸び、視線を集めるために顔は前を向き、歩き方にも安定感が出ます。特に、スーツで個性埋没気味の方は魔法のような変貌ぶりで…。
―どのように変貌できるんですか。
津田 例えば、私が教えているある男性は折々の海外出張でも英会話力に自身がないために、社交の場ではいつも日本人同士で過ごしていたそうです。2回のレッスンできものの魅力を知ったその方は、ある時海外出張にきものを持参し、帯を自分で結びパーティに出席しました。するとその夜、彼は多くの人から声をかけられ写真まで撮られたそうです。会話力が急にアップしたわけではありませんが、落ち着いて相手の話を聞くこともできたそうです。きものの威力をまとい、自身がついたというわけですね。
―実はそろそろ、ふだん着るきものを1枚持ちたいと思っているのですが…。
津田 そろそろではなく、今日からきもののとりこになりましょうね(笑)。ふだんきものの魅力の一つは非日常の感動を日常に取り入れることです。でも、その感動を体験したくても何から始めればよいのか迷われると思います。どこで何を買うのか、予算はいくらぐらいあればいいのか、また、たたみ方も着方もわからないし、後始末はどうすれば良いのかなど。そんなことを思い煩っているうちにギブアップという方も多いと思いますので、簡単にスタートアップ・アドバイスを致します。
1 いつ着たいのか?(季節)
2 どんな場面?(披露宴、茶会、友人と食事、観劇、日常)
3 どういう自分を見せたいか(社会的立場をきもので見せる。
人と違ったユニークさ、やさしさ、強さ、粋、ゆったり感)
和装の価格幅は広いので、最初に金額を決めることにより、
散財しすぎるというきものの魔力にはまらずにすみます。
■●きもの ■●帯 ■●襦袢(長襦袢/半襦袢) ■●半襟 ■●腰帯(モスリン=ウール100%) ■●肌着 ■●足袋 ■●雪駄 |
●きものブラジャー ●帯揚げ ●帯締め ●ウテナ(お太鼓を安定させるもの) ●帯枕 ●腰当 ●裾よけ ●帯板(前板) |
津田 きものが一通りそろったら、合理的な着まわしを助言してくれる良い指導者に出会うことも大切です。「きもの一枚、帯三本」というように、それだけあれば豊富な着まわしを楽しめます。きものを着たら、後は堂々とするだけ。凛とした姿勢が最後の仕上げです。
日本の四季を表現するきものは環境循環型社会に適した「着るもの」。やさしさやコミュニケーション・ツールとして周りを穏やかな気持ちにすることができます。英語で日本を語る時、きもの姿が手助けしてくれることは間違いありません。今後、多くの方がきものの魅力・魔力・威力を実感し、異文化交流を進めていただければと願っています。
―ところで、英語のキャリアを教えてください。
津田 中学1年で英語と出会い、高校時代には会話もできるようになっていました。そのころのモチベーションは「英語がペラペラになれたらカッコいい!」(笑)。大学では英米文学専攻だったので会話はあまり…。就職して1年後には会社を辞め、イギリスのケンブリッジに8ヶ月程、語学留学をしました。これが最初の海外生活でした。
―帰国後は外資系企業に入社されて…
津田 そうです。そこで私は、英語が話せても日本のことを伝えられない自分を発見してしまいました。まさに、英語はツールでありゴールではないということですね。その後、私は日本のことを勉強するようになりました。ツールとしての英語を使うことでお互いの文化がわかったり、社会貢献ができたり、生きがいが生まれたりします。英語は自分の間口をこれだけ広げてくれる素晴らしいツールだとわかった時、英語をやっておいて本当によかったと思いました。「自分は何のために英語を学ぶのか」というビジョンを持てば、勉強にも弾みがつきます。英語を学ぶ上で一番大切なのはこのビジョンではないでしょうか。
―苦手な人が多いリスニングはどのように勉強されましたか。
津田 15分でもいいので集中して聞きました。24時間英語を流しておいても効果はないと思います。やり方はまず、CDを聞く前にテキストを見て、出てくる単語をチェックするようにしました。単語がわからないと、そこでストップしちゃいますから。そして、リスニングが終わったら、その英文を自分で音読します。リスニングだからといって聞いてばかりではだめ。自分で発音し、自分の英語を聞くことで初めて、文字と音が頭の中でリンクするように思います。ここがとっても大切なポイントです。そして最後に、その英文を、意味は多少理解できなくてもリズムで丸暗記しました。暗記をするのは、中学の頃通っていた塾の先生に教えてもらった方法で、大変な作業でしたが、今ではその先生にとても感謝しています!
by @kazumiryu