きものに興味のある方もない方も鹿児島県南方の奄美群島の主島である奄美大島特産品の「大島紬」という言葉は耳にしたことがあるのではないでしょうか?結城紬とならびその精緻な技法で1年を製作に要する事も多いため高価なきものの代名詞のように使われています。
その奄美大島紬を使ってカフェの装飾品や制服を作るご依頼をうけました。
奄美の特産品をクリエイトする場に伝統技法で織られた紬をとりいれるのは贅沢なこと。
Kazumi流ではこのようなカフェ・エプロンとキャップにつけるリボンやテープを大島紬でデザインしました。
18世紀には島役人が紬を着用し、黒砂糖と共に鹿児島藩の重要財源でした。
それが今、カフェメニューのカバー、コースター、額にいれられ空間を格調高く仕上げる役目を果たしていると考えると、とても興味深いことですね。
「紬」のきものは柔らかものの綸子と異なり、とても着易いのが特徴です。私の経験からは結城紬には暖かく包みこんでくれる安心感があり、大島紬はそのひんやりした感覚が凜とした感覚をとぎすましてくれます。纏ったときや歩を進めたときの独特の「しゃっ、しゃっ」という音が背筋をのばします。精緻で伝統的な技法で30以上の気の遠くなるような工程を経ての賜物が大島紬。高価な値がつくのもいた仕方なく、今では紬はふだん着から価格の高い訪問着などに格上げされている現状。機会があれば、奄美大島紬のもつ上質軽さと冷たさ、そしてその触れてみてください。