あこがれのきもの姿とはどんな人を言うのでしょう。
まず風情としては凜とした立ち姿。
そして所作の中に上品で清潔な色気が漂う人ではないだろうか。
そのためには、ぴしりときものを纏っていること。
その姿を整えるためのキーワードとして衣紋、補正、
衣紋布という点からKazumi流「ここで差がつく」解説。
さらしで作る補正着は防弾チョッキのような形です。
その前面にうっすらと綿をいれることがポイント。
現代人は体に左右差があるので、それを鏡にむかいながら
しっかりと自覚し控え目にいれることがコツ。
鏡に向かうひと時、そこに見つけるのはHappyなあなた?
それとも疲れ気味のあなたでしょうか?
鏡の向こうにいる自身との対話もきものを纏う醍醐味です。
ちなみに、拙著の全てのイラスト(右のきのこのイラストと文字も)は市野智絵さんによるもの。
現在では恋愛成就に最強開運神社としてメディアでも
大人気の浅草今戸神社で神職として活躍中の女性です。
Kazumi流きものも幸せを運ぶお手伝いをしています。
「小股の切れ上がったよい女」といえば江戸女性の、ピシリと小粋な姿が目に浮かびます。キンキラはんなりも、きものらしいけれど、やはり知的で凛と、さり気なくきものをまといたい。そんなイメージを実現させるなら、ほんのひと手間の“ここで差がつく”秘訣を活用してみてください。
きもので、まず誰もが目に留めるのがえり元。良し悪しが判断されるので“差”をつけるならここをポイントに。
美しい半えりがのぞくえり元作りには、まず補整。ほっそりした鎖骨から豊かなバストへのラインは洋服では魅力的ですが、きものではNG。最近のきものはあまり決まりごとにとらわれず、好みのものを洋服感覚で着ようという傾向がみられます。わたくしは「きものを着る」という心意気を持っている人がいるというだけで嬉しくなるので、その考えもありなのですが、やはり少しでもきもの美人になり、かつ着くずれを防ぐには、補整のひと手間を省くのはもったいないと思います。手作り補整着は、「綿が少ないかな」と思う程度の薄さの補整量が丁度よいので、入れすぎは禁物。上半身だけ老けてしまいます。
次に重要なのが、じゅばんにつけるえもんぎれ。このえもんぎれに腰ひもをふたつに切ったひもを交差させ、通すことによって、えもんの抜き加減が調整される大切な布です。じゅばんを買うと細長い布が首のうしろについていますし、仕立ての場合では半えりとともにつけてくれるもので、一見どれも似た感じですが、微妙な幅や長さにより、どれだけ差がつくかを試して、このえもんぎれを考えられた師の合理性を実感しています。
わたくしには、着慣れたある時期、どうしてもえもんがすぐに詰まってしまう“くせ”にとりつかれ、気がつくと首のうしろを引っ張って隙間を作っていたという情けない経験があります。そんなとき、このえもんぎれなら、少し長くしてつけ直してみると、ミリ単位の微調整までこころゆくまでできるのです(市販のものだと、二段階調整程度)。特にふだんきものの場合、日常シーンのひとコマを彩る“着るもの”を考えていますので、どんなに動いてもえり元が乱れない、という、このえもんぎれは大助かり。そこにえり芯だけではなく、短い芯を首のうしろあたりの丸みが出るように入れると、多少半えりがぐずぐずについていても、えり元からのぞく形に安定感があり、大変美しいきもの姿となります。
最後に、きもののおはしょりは、あってもなくてもあまり気にする必要はありません。それよりもおはしょりが、モコモコせずにすっきり平らになっているかどうかが重要。うしろや横がシワになっていても気にせずに。袂と帯が上手にかくしてくれますよ。