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2011年5月27日掲載

単衣(ひとえ)の季節にあそぶ

Enjoy the Season of Hitoe(Kimono without lining)

津田恵子@六義園
そこここに力強い再生する命が感じられる

夏日を記録したかと思うとダウンジャケットが欲しくなるような不安定な5月、九州では梅雨入り宣言がだされました。しかしやはり本格的な蒸し暑さに入る前のひとときには命の輝きが満ちています。

心地良い風を感じ、帯つけで(羽織を着ない状態)安心して歩けるこの時期は、纏う喜びで満たされます。単衣(裏のついていない着物)のこの季節では、半衿も冬用のちりめんや夏の絽の間用の薄手のひとえ素材につけかえたいもの。ところが、現在では需要が余りないため、中々見つけることができません。
「ひとえ用の半衿ありますか?」と尋ねると「?」と怪訝そうにされたり、逆に
「なつかしいねぇ、今はなかなかそんなこと言う人いなくて…昔なんて浅黄色の薄手のよいのがあってね…」などと愚痴半分なつかしさ半分といった店主の声もしばしば。

5月、6月のひとえの季節こそ、さわやかな美しさをしっとりと演出したいものです。
ひとえの麻足袋、絽の帯揚、帯締、すずやかな色のかがり帯、籐のバッグなど小物で演出する方法もたくさんあります。袷もクリーニングに出したいけれど、どこに出せばよいかわかならい…そんな方も、どうぞご遠慮なくお尋ねください

水の和主宰の聞香(もんこう)講座の様子
お話の後、香元により次々に香りが回されます

きものを目的もなく纏うのは365日のふだんきもの生活者の私くらいかもしれません。やはりきものを纏ったからには、出かけたいもの。
かといって一人で歩くのは何となく照れもあり、初心者は他の方の視線も気になることでしょう。Kazumi流ではそんな方のために、気軽な「あそび場」をご紹介しています。

Kazumi流の男性のお弟子さん

5月14日(土)は水の和主宰の聞香(もんこう)講座に参加しました。
そこは江戸時代小石川後楽園とともに二大庭園といわれた六義園。その美しい庭に心泉亭があります。Kazumi流の男性の生徒さんもきもので参加。

伊達晟聴先生
作務衣姿の伊達晟聴先生のお話は大脳生理学から神話まで多岐にわたります

香道研究家 伊達 晟聴 氏の多岐にわたる知識と軽妙なお話しにひきこまれ、香道の敷居の高さが一度になくなり、身近になりました。
「香りを聞く」のではなく、「香りに聞く」つまり内なる声に耳を傾けるという伊達先生の言葉は、Kazumi流の真髄であるきものとは「内面の己に対面する」ためのツールであるという考え方と一致し、深くううなずけることでした。

沈香の最高品といわれる伽羅の香り
私が聞きたかったのは沈香の最高品といわれる伽羅の香り。
アロマで炊く香りとは異なる精妙さは心の肌理が映し出されるよう

非日常を日常に少し移すことにより、生まれる心の余白。
その余白に香りが刺激となり、想像の羽を広げさせる。それは海馬に埋もれた過去の記憶か、まだ見ぬ未来想像図か…参加者の輪にありながら、同時に、そのひと固有の時間が流れること、それはソリテュード・タイムとの出会いともいえることでしょう。
次回は6月12日(土)池上本門寺、そのような空間を共有してみませんか?

by @kazumiryu

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