中学2年生232名への特別授業は拙い英語ですがきものについて語っている番組を視聴してもらい、その後講演をさせていただいています。
なぜ、ゆかたの着付けを学ぶ授業の前にそのような時間をとるのでしょうか?
それは海外でビジネスを経験した後、365日のきもの生活者となった私が日々体験を重ねている、纏うことが育んでくれる多様性を共有したいからです。
和装を日常にとりいれること、所作を知りいにしえの人びとへ思いを馳せることは大切です。しかしそれだけではなく、鏡にむかい無心になってきものを纏うことから心ののりしろが広がり、人を成熟させてくれるのです。さらに自分のルーツを知り、表現すること。
それは近い将来、彼女たちが異文化の中に在った時に大きな自信になることでしょう。
そんなことを願いながら、ゆかたという非日常が初めの一歩となることを願って全力投球の日々でした。
「ゆかたは紺白が一番美人にみえますよ。白地に紺は盛夏にぴったり、相手へ涼しさを運ぶのも和装の魅力」
反物をみせながらのこんな説明に目をかがやかせて聞き入ってくれます。
第二腰紐は背中心から50cmくらいのところに両方が向かいあうように安全ぴんでとめます。これぞ
Kazumi流の着崩れない裏技。
「前のおはしょりは、右手をここに手をいれて、トントンと下へね」
「ここかな、あれ変な布がこんなところに」
「たたみ方は畳半畳有れば、十分。えりを左において、まずは裾から始めましょう。わからなかったらゆかたに聞くと教えてくれますよ」
「わぁ、脱ぐのいやだな」
「まずは、なでしこ的はおり方を。前から回して後ろにもってきたら少し腰を落としてね」
「あれ?何かが違うみたい。でも、がんばる」
前をにぎったら畳すれすれにもちあげて小さい前へならへ!ヒップを包み込み、そこにテンションを感じて。
写真を撮影するときには、洋服とは異なりカメラを下からあおらずに、ほぼ目の高さに構えてとりましょう。
まだ撮られる場合には、和装の魅力である袖を存分に活用。少し斜めに構え腰をおとすとすっきりした立ち姿になりますよ。なりきってみましょう
きょうは
半幅帯で一文字結び。羽の両端を少しおろすと文庫結び、開くとかわり四枚羽に。さぁ、一巻きしたら左手は体近くの帯にそえたまま、右手でもった帯をきゅっ!とひくと体にすいつくように巻き付きます。
和傘の黒と朱の美しさに「わぁ〜」と歓声があがります。
柄を肩にあずけるとだらしないので、ちゃんともってね。蛇の目は二段階にひらきますが小さめにあけましょう。
「授業のために祖母が買ってくれました」
「このゆかたは小5の時にかってもらいました」
「今年の夏はずっと、浴衣を着ていたい!」
「文化祭で和の色を研究発表することにしました」
「自分でゆかたを縫ってみます」
「おばあちゃんのゆかたのことで母と話をしました」
毎年3回で凛とゆかたを纏い、さらにアイデンティティの一旦を実感した生徒さん。
写真はほんの一部です。まだまだたくさんの生徒さんへ一人一人腰紐を結んだ日々。10年後、和の種から何が生まれてくるのか楽しみです。
三回目は撮影大会。髪かざりを買ったり、おばあさま手作りのちりめんかんざしを持参する生徒さん。女の子らしい、かわいさと笑顔が一杯。みているだけでうれしくなります。撮影用に貸し出した和傘もひっぱりだこ。