これまでお伝えしてきた中学2年生へのゆかた授業の熱気と笑顔は保護者の方々へも伝播していったようです。生徒さんのご要望にも後押しされた形で保護者の方々も交えての「ゆかた特別講座」が開催されました。
直前の呼びかけにもかかわらず合計50余名の参加者は早くからお越しいただき、和室からあふれそう。生徒さん、お母さま、お祖母さまと三世代組、母娘さん組、そして父娘さん組も。
まずオープニングは生徒さんの声がけによる「礼法」で学んだご挨拶から。学生時代へタイム・スリップしてどきどきしているのは保護者の方々かもしれません。90分という限られた時間の中、きつけの授業内容もさることながら、「海外でのコミュニケーション・ツールになること、和装が循環型エコであること、纏う人自身がブランドになること」など、きつけのプロセス指導ではなく、きものを世界へ羽ばたくためのツールとして位置づけてご指導していることを伝えます。
そして、いよいよ実習。
多くの参加者は初心者というわけで、生徒さん(娘)の方が自信をもってお母さまにやり方を伝授したり、リードする姿がいつもとは違って新鮮です。それにしても、お父さま始め、みなさまの眼差しはとても真剣。
最初の緊張感はあっという間に無邪気な興奮状態へ。
当初「見学だけ」とおっしゃっていたお父さまも、しっかり女ゆかたを纏ってご参加くださいました。「これならパパと一緒に歩いてくれる?」そんな声が聞こえてきそうです。
最後には授業ではおこなわなかった貝の口/男結びもご指導しました。特にお父さまが締めるときの粋な帯の角度などは生徒さんにしっかり伝授。娘さんはそのポイントを食い入るように見つめます。
そんな様子に触れるだけで、胸には暖かいものがわき上がります。母娘ご一緒ももちろんですが、父娘の参加は遠い我が身を振りかえり、うらやましくもあります。
思春期は親子のコミュニケーションが少なくなる時期かもしれません。その様な時、和装という非日常の空間ゆえに演出できる関係性。まして娘がその知識を一歩リードして持っているとなると普段と立場は逆転し、新しい関係性やコミュニケーションが生まれるのかもしれません。みなさん汗をかきながらも一生懸命、そしてこぼれる笑顔。それも「きものの魅力・魔力・威力」のなせる技だとうれしい一時でした。